KRAFT HISTORY

  1. クラフトの創業者、ジェームス・ルイス・クラフトの人生は決して順風満帆なスタートではありませんでした。1874年にカナダのオンタリオ州で、移民の家庭に生まれたクラフトは、家の農場資金を稼ぐために16才で独立。国境を越えてニューヨークのホテルや小商売に卵を売り歩き、2年で家の抵当権を買い戻します。しかし、その後、チーズ会社の共同経営者となったクラフトに思いもかけない苦境が訪れます。なんとシカゴ支店に出張中に仲間に会社を乗っ取られ、 見知らぬ街で立ち往生してしまうのです。その時の所持金はわずか65ドル…。しかし、ここからクラフトの操業物語、バディという名の馬と馬車を借りて事業の夢を実現していくサクセス・ストーリーがはじまるワケです。1904年、創業当時のクラフトは日記にこう記しています。「私には多くの希望があるが、事業の夢を実現できる人物かどうかは、時が教えてくれるはずだ」。時はまさにそれを証明し、クラフトは1953年、成功を夢見た同じシカゴでその生涯を閉じます。

  2. バディという名の乗り物の馬車、それにわずか65ドルばかりの資金。
    今からおよそ1世紀前、アメリカのシカゴにいたJ.L.クラフトは、
    当時傷みやすい商品とされたチーズを、
    馬車を使って店まで配達するビジネスをはじめました。

    シカゴのウォーター市場でチーズの販売をはじめたクラフトに、
    まもなく彼の4人の兄弟が加わり、1914年にはイリノイ州ストックトンに
    初めてのチーズ工場を持つまでになります。

  3. チーズ産業へのクラフトの最大の貢献は、プロセスチーズの製造方法を開発し、チーズの品質とフレーバーを長期保存できるようにしたことです。
    クラフトはプロセスチーズの製造に何度も失敗を繰り返しながら、遂にある発見をします。それは加熱後の脂肪分と固形分の分離は、撹拌速度をあげれば防げるというアイデア。これによりプロセスチーズの製造に成功したクラフトは、1916年に製法の特許を取得します。

    プロセスチーズのパイオニアとなったクラフトが次に取り組んだのが、売り方におけるアイデアです。それまでチーズは、ホイール(大きな円柱形状のチーズ)を切り売りして販売していたため、品質が均一ではありませんでした。露出した端の部分が空気にふれて古くなったり、カビがはえたりして、売り物にならず捨てていたのです。そこでクラフトが考案したのが、”缶入り”のプロセスチーズです。
    消費しやすいサイズにカットしてブリキ缶につめるクラフトのアイデアは、傷みやすいという問題を解決し、業界に革命をもたらしました。消費者の品質に対するニーズに応えるとともに、ムダを省くことにも成功し、クラフト・ブランドの存在は広く知られるようになりました。

  4. クリームチーズが誕生したのは、今からなんと約130年前の1872年です。ニューヨークの小さなチーズメーカーにより、四角い形のクリームチーズが製造されたのが第一歩です。
    1880年には、トレードマークの”フィラデルフィア・ブランド”の名称が採用されました。当時、アメリカ東海岸ペンシルバニア州にあるフィラデルフィアは超一流の食品、特に乳製品で有名でした。
    そして1928年、クラフトは唯一のクリームチーズメーカーであったフェニックス・チーズコーポレーションを合併し、クリームチーズの代名詞フィラデルフィア・ブランドをラインナップに加えました。以来、フィラデルフィア・ブランドは最も歴史のある高品質なクリームチーズとして世界のチーズメーカーに広く認められています。

  5. 高品質を維持するクラフトのプロセスチーズは、他社製品より値段が少々高いのが悩みでした。これを解決するクラフトのアイデアは、じつにシンプルです。
    それはプロセスチーズの原料であるナチュラルチーズに固形のワックスでカバーした”ワックスラッパー”を施すことで、原料を長持ちさせ品質の劣化を抑えたのです。
    今では当たり前のことですが、ナチュラルチーズは何百年もの間、ラップせずにただ並べられていたのです。
    このアイデアにより、クラフトはムダなくプロセスチーズを製造できるようになりました。しかもラップされたナチュラルチースは、まったく新しい小売り商品として導入され、今日のように幅広いラインナップを持つまでに成長しています。

  6. あらかじめスライスされたチーズが、バックの中に入っている。
    スライスチーズの登場では、売り場でチーズをカットしてもらっていた当時の消費者に大きな驚きを与えました。じつはクラフトが最初にスライスチーズを思いついたのは、1930年代の後半。この時から高品質なクラフト・ブランドのスライスチーズをいかに消費者の手もとに届けるか。クラフトの研究が始まります。
    それから10年後、スライスチーズを製造する機械が発明されて、売場で入念なテストマーケティングが重ねられ、充分なクオリティが確保できることがわかると、念願のアイデアはついに日の目を見ることになりました。そして、スライスチーズは1個ずつラッピングされた「シングルス」という商品に発展し、現在にいたるまで多くの国々でクラフトがこの市場を独占しています。

    アメリカでチーズのチャンピオンと呼ばれる「ベルビータ」や、コップ入りの「スワンキースウイッギー」など新製品を続々と発表。中でも1950年に「シングルス」というブランド名で発売したスライスチーズは斬新でした。今では世界中でおなじみですが、1枚ずつラッピングされたスライスチーズを世界で最初に開発したのはクラフト社だったのです。

  7. 高い人気を誇るフィラデルフィア・ブランドのクリームチーズの売り上げが、70年代に入って落ち込みはじめました。
    市場調査によると、スプレッドチーズとして使う上で問題点があることが分かりました。
    それは一度パッケージを開けてしまうと、保存しにくいこと。さらにチーズを暖めないとぬりにくいことでした。
    そこでクラフトはフィラデルフィア・ソフトを発売しました。タブに入ったソフトタイプのフィラデルフィアで、
    冷蔵庫から取り出した直後でもよく伸びて塗りやすく、しかも保存しやすい。
    この新商品はクラフト社の最優秀新商品賞を受賞し、
    その後フレーバー入りソフトフィリーやホイップフィリーの販売へと受け継がれています。

  8. 現在、Kraftブランドは北米において、チーズはもちろんピーナッツバターやドレッシング、
    加工食品などクラフトフーズ社が製造販売する多様な食品に使われています。
    ブランドの売り上げ規模は年間10億ドル以上(※2013年3月時点)
    という、とても大きなブランドになっています。