クラフトの創業者、ジェームス・ルイス・クラフトの人生は決して順風満帆なスタートではありませんでした。1874年にカナダのオンタリオ州で、移民の家庭に生まれたクラフトは、家の農場資金を稼ぐために16才で独立。国境を越えてニューヨークのホテルや小商売に卵を売り歩き、2年で家の抵当権を買い戻します。しかし、その後、チーズ会社の共同経営者となったクラフトに思いもかけない苦境が訪れます。なんとシカゴ支店に出張中に仲間に会社を乗っ取られ、見知らぬ街で立ち往生してしまうのです。その時の所持金はわずか65ドル…。しかし、ここからクラフトの操業物語、バディという名の馬と馬車を借りて事業の夢を実現していくサクセス・ストーリーがはじまるワケです。1904年、創業当時のクラフトは日記にこう記しています。「私には多くの希望があるが、事業の夢を実現できる人物かどうかは、時が教えてくれるはずだ」。時はまさにそれを証明し、クラフトは1953年、成功を夢見た同じシカゴでその生涯を閉じます。